私は歳を重ねて父方の祖父である桂吉に似てきたと自分で思う。
祖父は町工場で工員として働き、故郷に土地を買い暮らそう思っていたが、農地改革で全てを失ったらしい。板橋区氷川町の借家で暮らしていた。
新聞に織り込まれる広告の裏の白い部分で、字を書いていたのを思えている。物を大事にする爺さんだったよ。
小柄で、痩せていて、坊主頭で、ガンジーみたいな風貌だった。
酒もタバコも飲まず、真面目な人だった。
暇つぶしに私と将棋を刺したが、絶対に手お抜かずに全て勝っていた。
クロという雑種を可愛がり、この犬は真っ黒な毛色だった。
よって
私は祖父を黒の爺と呼んでいた!
孫である私を子供扱いする事が無かったので、時折私はクロの爺と喧嘩した!
原因は夕方の相撲中継と漫画放送を巡ってのチャンネル争い!そして、夕飯の献立である。
クロの爺は入れ歯なので、蕎麦が好物であった。
単純なそばやが子供の私は物足りなく好きで無かった!
クロの爺は80歳過ぎていたが、私の自転車に乗ろうとして家族に叱られていた。
そんな祖父に私の風貌が似ている様である!
今日も生きてる。